エネルギー(以下カロリー)の摂りすぎはよくないと考えがちですが、健康を維持するためにはカロリーの摂取は必要で、その分、体を動かしてカロリーを消費します。実際にどのくらい消費すればよいのでしょうか。
本記事では、ダイエットを成功させるために必要な一日の消費カロリーの目安や考え方、運動強度であるMETs(メッツ)を活用した運動量の計算方法などについて紹介します。
ダイエットが成功する一日に必要な消費カロリーとは
ダイエットではカロリーを摂り過ぎても不足しても健康に影響するため、摂取カロリーと消費カロリーのバランスをとることが大切です。では、一日にどのくらいのカロリーを消費すればよいのでしょうか。
実はこの質問の回答は難しく、個人差があるため意味をなさないとする専門家もいます。
カロリーの消費量は個々のメタボリズムに大きく依存するものであり、遺伝、年齢、生活環境、筋肉量、体質などが異なると摂取したカロリーを体内でどのように処理し、どのくらいのカロリーを必要とするかは人それぞれだからです。
ただ、個人差はあれど私たちは毎日カロリーを消費しています。では、体内でどのように消費しているかを把握しておきましょう。
消費カロリーとは
消費カロリーは、日常生活で消費する熱量を指し、正しくはエネルギー消費といいます。ここではわかりやすく、消費カロリーと表現しています。反対に摂取カロリーは、主に食事によって体内に取り込む熱量です。カロリー消費は運動や身体活動のみに使われるものではなく、基礎代謝、食事誘発性熱産生も含まれます。
基礎代謝とは、内臓を動かしたり、血液を循環させたりする生命維持活動、食事誘発性熱産生とは食事によって取り込んだ栄養素を分解するために代謝を上げる活動を指しています。
一日の総カロリー消費量のうち、約60%が基礎代謝、約30%が身体活動、残りの約10%は食事誘発性熱産生といわれています。
つまり何もしなくてもカロリーは消費されますが、基礎代謝を上げたり下げたり、自分の意志でコントロールするのは不可能なため、運動や日常生活の身体活動でカロリー消費量を上げていく必要があります。
ダイエットの基本から考える消費カロリー量
ダイエットは、身体活動などで消費するカロリーが、食事などで摂取するカロリーを上回ることで体重を減らせます。
一般的な成人男性の一日の基礎代謝量は1,500kcal、成人女性は1,150kcalです。これに運動や身体活動で消費カロリー量を増やし、食事制限で摂取カロリーを減らして差をつけます。
健康的に痩せるためには、極端に差をつけるとかえってカロリー不足になり、体調不良やストレスなどにつながるリスクがあるので注意が必要です。そのためにも、それぞれの一日の摂取カロリー、推定される消費カロリーを把握していきましょう。
【男女別】摂取カロリーの目安
ここでは、厚生労働省が算出したものをみていきましょう。在宅などで座る時間が多い人をレベル1、デスクワークだが通勤などで身体活動がある人をレベル2、肉体労働または運動を習慣にしている人をレベル3とします。
男性 | レベル1 | レベル2 | レベル3 |
18~29歳 | 2,300kcal | 2,650kcal | 3,050kcal |
30~49歳 | 2,300kcal | 2,700kcal | 3,050kcal |
50~64歳 | 2,200kcal | 2,600kcal | 2,950kcal |
女性 | レベル1 | レベル2 | レベル3 |
18~29歳 | 1,700kcal | 2,000kcal | 2,300kcal |
30~49歳 | 1,750kcal | 2,050kcal | 2,350kcal |
50~64歳 | 1,650kcal | 1,950kcal | 2,250kcal |
たとえばオフィス通勤で徒歩20分程度の身体活動がある20代女性に必要なカロリーはおよそ2,000kcal、ダイエットをする場合は消費カロリーがこれらを上回る必要があります。
ただし、食事制限などで必要なカロリーを極端に減らさないようにしましょう。特に女性は、ストレスやホルモンバランスの乱れで体調を崩す可能性があるからです。
女性のライフステージ別ダイエットのポイントを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
痩せたい女性の1日の摂取カロリーは?年代別のポイントもご紹介イフステージ別のポイントもご紹介
運動による消費カロリーはメッツを活用して求めよう
では、どのような身体活動をどのくらい行えばよいのでしょうか。消費カロリーを計算するには、METs(メッツ)を活用します。
メッツとは
メッツとは、身体活動や運動の強度を示す単位です。静かに座っている状態を1とし、そのほかの身体の動きが何倍に相当するかを表したもので、身体活動を定量化するために用いられます。
厚生労働省の「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」によると、18〜64歳の場合、生活習慣病を予防するために 3メッツ以上の身体活動を週に23エクササイズ行うよう推奨しています。
これは毎日60分の歩行、またはそれと同等の強度の活動(運動)に相当します。
よくある運動のメッツ
ここで、身体活動の強度をいくつか紹介しましょう。
身体活動 | メッツ | 身体活動 | メッツ |
ゆったりとしたストレッチ | 2.3 | 家財道具の片付け、子どもの世話、歩行 | 3.0 |
調理、皿洗い、掃除機をかける | 3.3 | 洗車、窓掃除、車庫掃除、モップがけなどの立位作業
歩行、子どもと遊ぶ(歩行やランニング) |
3.5 |
腕立て伏せ、腹筋運動 | 3.8 | 自転車(16.1km/時未満、レジャー、通勤、娯楽)ヨガ | 4.0 |
床磨き、バスケットボール(シュート練習) | 4.5 | 引っ越し、フィットネスクラブでの運動、スクワット | 5.0 |
アクアビクス、水中運動 | 5.3 | ウエイトリフティング、ボディビルディング | 6.0 |
ランニング | 7.0 | エアロビックダンス | 7.3 |
重い荷物の運搬 | 8.0 | 縄跳び | 11.8 |
※国立健康栄養研究所 改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』より
消費カロリーをメッツから計算する
このメッツを活用して、時間/日の消費カロリーを計算してみましょう。「METs×体重×時間×1.05」の式で計算されます。
成人女性・50㎏が60分のウォーキング(3.5メッツ)をする場合
3.5×50㎏×1(時間)×1.05=消費カロリー 183kcal
成人男性・70㎏が30分のウエイトリフティング(6.0メッツ)をする場合
6.0×70㎏×0.5(時間)×1.05=消費カロリー220kcal
スポーツだけでなく、日常生活や運動でメッツが高めの動きを取り入れてみると効率よくカロリーを消費できます。
個人にあった消費カロリーを知って実践したい方は
消費カロリーを計算できても、「運動が苦手なのでカロリーを効率よく消費できない」「自分にとって正しいダイエットなのか不安」と感じているなら、一度プロに相談してみてはいかがでしょうか。
RITA-STAYLEでは、専門のトレーナーが個々に合わせたトレーニングメニューを組み、初心者の方にも無理なく丁寧に指導しています。正しい知識を身につけながら健康的にダイエットしたい方は、ぜひ無料カウンセリングを受けてみてください。
一日の摂取カロリーと消費カロリーを調整して、痩せよう!
メッツを活用して消費カロリーを計算できれば、摂取カロリーもコントロールしやすくなるのでおすすめです。
なかなか運動ができないという場合でも、「通勤は自転車にする」「週末はしっかり掃除をする」と決めて実践するだけでも、消費カロリーを上げられます。まずは体を動かすことから始めましょう。
Q&A
Q.一ヶ月で1.5㎏痩せたいのですが、どのくらいの消費カロリーが必要ですか?
A.一ヶ月で1㎏痩せるためには約7,000kcalの消費が必要といわれています。1.5㎏の場合10,500kcalの消費、これを30日で割ると350kcalが目安になり、70㎏の人の場合4.7メッツ以上の運動を毎日1時間行う必要があります。
Q.運動をしなくても、食事制限だけで痩せますか?
A.一時的には痩せることは可能です。ただし栄養が不足すると筋肉が減り、基礎代謝も低下するため消費カロリーも効率が悪くなります。かえって痩せにくい体質になるのでたんぱく質を中心に栄養を補給しましょう。